株価急落小林製薬、今後どうなる!?

紅麹コレステヘルプが原因で5名が死亡、100名以上が入院となった可能性があるとして、小林製薬の株価は10%程度急落し、5,000円前後で推移しています。株価はどこまで下がるのか、買いどきを見極めている方も多いと思います。まず亡くなられた方、入院通院中の方がいらっしゃいます。安くなったから買いどきなどと短絡的に投資するのではなく、本来の投資の姿=企業の成長に対して投資するという姿勢で小林製薬についても分析するべきだと思います。企業風土・財務体質・商品などを知り、この企業に対して投資するに値するか、今後どうなるかの判断材料にしたいと思います。

まずは小林製薬の概要について確認していきたいと思います。小林製薬は家庭用品製造販売が主軸の製薬会社。代表的な製品にアイボン、ケシミン、サラサーティ、消臭元、ブルーレット、熱さまシート、アンメルツなどニッチですが強力なブランドを開発して、市場シェアを独占する戦略をとっています。製品からも製薬会社じゃない、どちらかというと日用品メーカーというイメージが強いです。

2024年4月1日時点での株価が4,969円、10年前の2015年初値が3,525円なので、当時より若干高いくらい株価です。もともと2020年頃から利益が伸び悩んでいたことが理由で株価は下落していました。
時価総額は4,000億円。23年度の売上高実績が1,700億円、営業利益が250億円、主要株主は社長である小林章浩が926万株(約11.8%)、また公益財団法人小林財団が600万株(約7.6%)と、一族で約19.4%を保有しています。一株配当は101円なので、年間に一族が手にする配当は約15億円、課税後約12億3000万にもなる計算です。

 

小林明弘社長の父で、会長の小林一雅による本「小林製薬アイディアをヒットさせる経営は」では、タイトルの通りどうやったら利益率を高められるか、商品作りのコンセプトなどの心得が非常に熱い思いで書かれています。非常に勉強になる1冊です。一方で安全に関することはほとんど触れられていません。この著書の中の単語の数は利益が27回であるのに対し安全は1回のみ。創業家によるワンマンな経営があってこそここまで成長し、一方で創業家によるワンマンな経営があってこそ、今回のような事態を招いたのだとも推測します。

今回の被害の賠償額は小林製薬の発表では12億円と言われています。実際にはもっと大きくなるとも言われていますが、自己資本比率が76.4%、自己資本が2,000億円以上あることを考えると潰れることはなく、十分耐えらえれる金額だと思います。またサラサーティ、消臭元、ブルーレット、熱さまシートなどのトイレタリーのブランド力が圧倒的であることも、耐えうる要因の一つです。

 

小林製薬 23年度決算と財務状況 引用:会社四季報オンライン


小林製薬に対して投資する条件としては、安全への取り組みををしっかり示し信頼回復に努めること、被害の状況が明確になり被害者らに対してきちんと必要な賠償をすること、これらの方向性がきっちりと定まってからではないかと思います。